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海外派遣と部門を越えた職務に挑戦

 

鉄鋼・金属取引のプロとして 知見と専門性、大局的な視点を高めたい

鈴木 とも

Tomo SUZUKI

金属資源本部新金属・アルミ部アルミ・プロジェクト室 2006年入社、現在はBI(Business Intelligence)業務に従事。コアスキルは貿易実務と投資管理スキル。
三井物産では多様なバックグラウンド、スキル、想いを持つ人材が活躍しています。航空業界から転身し、鉄鋼と金属資源の領域でトレーディング業務の経験を積み、現在は決算管理や投資管理業務へ挑戦を続ける鈴木ともさんもその一人。これまでのキャリアと仕事にかける想いについて語ってもらいました。

航空業界から転身、
鉄鋼のトレーディングへ

大学ではフランス語を専攻し、パリでの留学経験もあったことから、日本と世界をつなげる仕事に就きたいと考えていました。新卒時には航空会社の関連企業に就職し、その後に三井物産のキャリア採用に応募してみようと決めました。 三井物産に入社し、最初に所属したのは鉄鋼製品本部薄板部ブリキ・容器室です。フロント担当が合意した契約内容に沿って缶詰の缶やスチール缶などに使われるブリキを国内のメーカーから仕入れ、製缶業者に販売するまでの実務を担いました。取引先の方からの電話を受けてやり取りをすることも多く、お客様の顔が見えやすい仕事だったこともあり私には刺激的な仕事でした。 ところが、自動車鋼材の輸出を担う部署に異動になってからは、勝手が変わりました。国内の鋼材メーカーの商品を主に東南アジアや中国、韓国の取引先に輸出する業務で、海外企業とのコミュニケーションは一筋縄ではいきません。ハードな納期や量をオーダーされることも多く、メーカーと販売先企業の間に立って手配可能な納期や量を調整するのに苦労しました。 それでも、現地に赴任している関連会社の担当者が販売先企業を訪問した際、「いつも的確にサポートしてくれる鈴木さんにお礼を伝えてほしい」という伝言を預かってきてくれたことがありました。先方がそんな風に思ってくださっていることを初めて知り、役に立てているのだなと報われた思いがしました。

海外派遣研修制度に応募し、
シンガポール勤務を経験

入社以来、トレーディングのミドルオフィス業務を遂行する「物流アドミニストレーター」を務めてきましたが、自分の仕事の向こうにいる人や現場をもっと知りたいと思うようになりました。そんなとき、海外派遣研修制度でシンガポール拠点のロジスティックスマネジメントを担う部署が要員を募集していることを知りました。輸出に関わった製品が取引先に到着した後のプロセスに携わり、現地での流れを知るまたとない機会だと思えました。 ただ、応募には不安がなかったわけではありません。果たして本当に自分に務まるのか自信が持てずに迷っていたとき、背中を押してくれたのが当時の上司から届いた一通のメールでした。「海外派遣に挑戦する意義」というタイトルで、海外で働くメリットが箇条書きでずらりと書かれていたのです。こんな風に私を応援してくれることに勇気をもらえた気がしました。このように、応援してくれる上司や周囲の方たちに、私が海外派遣で成長した姿を見せたいと思えたのです。 派遣先となったアジア・大洋州三井物産の業務部ロジスティクスマネジメント室では、主にシンガポールを拠点とした輸出入の管理業務を担い、日々営業部門から集まる輸出入のワークフローが適切に実行されているかを確認する仕事を担当しました。貿易管理のワークフローをアジア・パシフィック地域の各拠点に導入していくタイミングとも重なり、マニラ店に出張してワークフローを導入・活用していくプロセスもサポートしました。
シンガポールの拠点で同僚たちとともに(2016年撮影)

現地スタッフとの協働、代えがたい財産に

シンガポールで経験した思い出深い仕事のひとつに、インドネシア税関でのトラブル対応があります。申告した鉄鋼製品が税関を通らないという報告を受けて、鉄鋼の経験を持つ私が対応することになりました。上司や同僚の協力を得ながら法令をくまなく調べ、当社の申告は間違っていないという確信を得たので、その根拠を細かく書き出して現地のロジスティクススタッフにメールしたのです。 インドネシアまで駆けつけることはできないけれど、現地スタッフが自信を持って交渉できるよう、詳細な説明を付記しました。このメールに力を得たローカルスタッフが粘り強く当局と交渉を重ねた結果、その商品は無事に税関を通過することができたのです。 それまでローカルスタッフとのコミュニケーションには難しさを感じたこともありましたが、当社のビジネスのために一生懸命戦っているのは同じなのだと改めて感じました。感謝の気持ちと達成感でいっぱいになり、これからも協力し合っていきたいと思えた瞬間でした。 この海外派遣研修制度では、海外企業と取引する貿易業務の現場を、日本側からだけでなく海外側でも経験できたこと、そしてさまざまなバックグラウンドを持つローカルスタッフとともに働き、違いを認め合いながら同じ目標を共有できました。この経験は代えがたい財産になっています。 帰国後は鉄鋼製品本部特板貿易部電磁営業室(現・三井物産スチール)で、3年半にわたって電磁鋼板の輸出と国内売買実務を担いました。

キャリア

2005年 大学卒業、航空会社の関連会社に入社。 成田空港での国際線旅客サービス業務などに従事。
2006年 三井物産入社。鉄鋼製品本部薄板部ブリキ・容器室配属。 ブリキ及びドラム缶などの国内売買実務を担当。
2011年 三井物産スチール (株) 自動車鋼材部門へ出向。 東南アジアと極東向けの自動車鋼材輸出実務を担当。
2015年 海外派遣研修制度でアジア・大洋州三井物産 (株) 業務部ロジスティクスマネジメント室へ着任。 シンガポール店で輸出入管理業務、輸出入管理システムのマニラ店導入支援を担当。
2016年 鉄鋼製品本部特板貿易部電磁営業室へ異動。 電磁鋼板の輸出・国内売買実務を担当。
2017年 業務移管により同業務で三井物産スチール (株) へ出向。
2020年 人事ブリテンボード制度を活用し、金属資源本部新金属・アルミ部アルミ室へ異動。 アルミ地金の輸入実務を担当。
2021年 第一子出産、育児休暇を取得。
2022年 復職。新金属・アルミ部アルミ室(現アルミ・プロジェクト室)でアルミニウム関連プロジェクトの業績管理、投資管理を担当。

トレーディングから決算管理と投資管理業務へ

入社以来10年以上にわたって鉄鋼製品のトレーディングのミドルオフィス業務を担ったことで、ようやく自分の仕事にも自信がついてきました。せっかく幅広い製品を扱う商社にいるのだから、キャリアの幅を広げてみたいと思うようになり、思い切って新しいチャレンジを決意しました。「人事ブリテンボード制度」を利用して、アルミのトレーディングを扱う部署への異動を希望したのです。 人事ブリテンボード制度は、社員自らが希望して、部門を越えた新しい職務に挑戦することを後押しする制度です。アルミはこれまで扱ってきた鉄鋼と取引先が共通したり、競合したりすることもあり、以前から意識していた業界でした。これまでの経験を活かしながらキャリアを広げるには、ぴったりの領域に思えました。 その希望が実現し、新金属・アルミ部に異動が叶いました。当初は鉄鋼のときと同様、トレーディングのミドルオフィス業務に従事しましたが、産休・育休から復帰してからは新しい業務を任されることになりました。 アルミ関連の各プロジェクトの収支予測を担う決算管理や、出資している取引先企業や事業の経営状況をモニタリングしてその業績を社内報告するとともに、投資の効果を分析する投資管理業務です。 決算管理や投資管理業務ではより大局的に業界を見て、分析していく視点が求められ、自分にはまだまだ経験と知見を積み重ねていく必要があることを痛感させられています。会計の専門知識も求められるので、走りながら企業分析や経営改善の勉強に取り組んでいます。

高い専門性と知見で組織と社会に貢献したい

三井物産はとても多様性に富む職場で、さまざまなタイプの人がいるのですが、ひとつ多くの人に共通すると感じることがあります。それは、「仕事が好き」ということです。 普段からわからないことや迷うことがあると、経験や知見を持っていそうな他の部署の人に尋ねにいくことがあります。こういうとき、皆さんお忙しいにもかかわらず、とても熱心にアドバイスしてくれるのです。初めて会う人なのに、まるで直属の上司のように親身になってくれると感じることもあります。 また、同僚と会食に行って他愛ない話をするときも、一番盛り上がるのは決まって「目の前の仕事をどう良くしていくか」という話題。そのたびに誰もが三井物産のビジネスに誇りを持っていることを実感しますし、互いの成長のために協力し合っているところがとても心地よい職場だと感じます。 今、私が課題に感じていることは、働き方のジェンダー差をなくし、あらゆる立場の人が働きやすい環境を作っていくことです。 今いる部署では、子育て中の社員は性別に関係なく主体的に育児に関わっていて、周囲の人たちと協力し合いながら子どもの送り迎えや急な体調不良などの対応もしていて、素晴らしいことだと思っています。一方で、育児等の事情を持たない人に負担が偏るということに繋がってほしくないとも考えています。立場に関わりなく誰もが協力し合い前向きに働ける環境を、当社はもちろん社会全体で作っていく必要を感じています。 私は入社以来、鉄鋼・金属資源の領域でキャリアを積み重ねてきました。これまで培ってきた専門性をより高め、鉄鋼やアルミのことならこの人、と思ってもらえるようなプロフェッショナルに成長し、組織と社会に貢献していきたいと思っています。
アルミ・プロジェクト室の同僚たちとともに(2024年撮影)

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